日本において、水道管破裂の最大の脅威の一つは大規模な地震です。大きな揺れは、地中に埋設された配管を歪ませ、あるいは接合部を力任せに引き抜いてしまいます。しかし、地震による水道管破裂の真の恐ろしさは、揺れが終わった直後ではなく、数時間から数日後の「通水再開時」にやってきます。地震発生直後、多くの地域では断水が発生しますが、その間に家の中の配管に亀裂が入っていても、水が流れていないため住人は気づくことができません。やがて復旧が進み、水道本管から再び高い水圧がかかった瞬間、傷ついていた配管が一気に弾け、家中が水浸しになる「通水漏水」が起こるのです。震災後の二次被害として非常に深刻なこの事態を防ぐためには、住人一人ひとりの冷静な行動が求められます。まず、地震が発生し、断水したことがわかったら、即座に玄関先の水道メーター付近にある元栓を閉めてください。これにより、自分が不在のときに通水が始まっても、室内の配管に負荷がかかるのを物理的に遮断できます。そして、通水が再開されたという知らせを聞いた後、元栓を開ける際には「儀式」が必要です。すべての蛇口を閉めた状態で、元栓をわずかに開き、水道メーターのパイロットが回っていないか、あるいは壁の中から水の流れる音がしないかを確認します。もしメーターが回っているなら、それはどこかの配管が地震で破裂している証拠です。この時、焦って蛇口を全開にしてはいけません。管内に溜まっていた空気が圧縮され、その衝撃でさらに破裂箇所を広げる恐れがあるからです。地震後の水道管破裂は、目に見える場所だけとは限りません。一階の天井から水が漏れてきたり、家の周りの地面が不自然に陥没したりする場合も、配管の破損が疑われます。また、地震のショックで配管を固定している金具が外れ、その後に使用し続けることで振動が伝わり、数週間経ってから金属疲労で破裂することもあります。災害への備えといえば飲料水の確保に目が行きがちですが、建物の配管というインフラを守る知識を持つことも、同じくらい重要です。