ある日突然、用を足した後にウォシュレットの洗浄ボタンを押すと、水の噴射がいつまでも止まらない。この予期せぬトラブルは、誰しもパニックに陥ってしまうほどの恐怖と焦りをもたらします。便器から水が溢れ出し、床が水浸しになるのではないかという最悪のシナリオが頭をよぎる中、冷静な判断を下すのは至難の業です。しかし、このような緊急事態にこそ、正しい応急処置を知っているかどうかが、被害を最小限に食い止めるための鍵となります。まず、何よりも最優先で行うべき行動は「止水栓を閉めて、水の供給を断つ」ことです。ウォシュレット本体やリモコンがどういう状態であれ、大元である水の供給を止めてしまえば、水が流れ続けることはありません。トイレの止水栓は、多くの場合、トイレタンクの横の壁、または床から出ている給水管の途中に設置されています。形状は、手で回せるハンドル式のものと、マイナスドライバーを使って回す溝があるものの二種類が主流です。どちらのタイプであっても、時計回りに回すことで水を止めることができます。長年動かしていないと固くなっていることがありますが、回らなくなるまでゆっくりと、しかし確実に閉めてください。ただし、あまりにも固い場合に、工具を使って無理やり回そうとすると、配管を破損させてしまう危険性があるため、その際は無理をせず、次のステップに進んでください。次に、必ず行うべきなのが「電源プラグを抜く」ことです。ウォシュレットは電気製品であり、水と電気は非常に相性が悪い組み合わせです。水が止まらないという異常動作を起こしている状態で通電し続けると、内部の電子基板がショートして完全に故障してしまったり、漏電による感電のリスクもゼロではありません。トイレのコンセントは、便器の後ろや壁の下部など、目立たない場所にあることが多いですが、必ず見つけ出してプラグを抜いてください。この「止水栓を閉める」と「電源プラグを抜く」という二つの初期対応を完了させれば、ひとまずは最悪の事態を回避できます。水が完全に止まり、電源も切れていることを確認したら、そこで初めて冷静さを取り戻し、原因の究明や専門業者への連絡といった、次のステップへと進むことができるのです。パニックになった時こそ、このシンプルな応急処置を思い出してください。