キッチンやトイレで突然の水漏れが発生した時、被害の拡大を防ぐための最も重要かつ効果的な初動は、家全体の水の供給を断つ「水道の元栓」を閉めることです。しかし、普段は意識することすらないこの元栓が、いざという時にどこにあるかを知らなければ、貴重な時間を無駄にし、被害を甚大化させてしまう可能性があります。住居の形態によって設置場所は大きく異なるため、平時のうちに自宅の元栓の場所を正確に把握しておくことは、現代生活における必須のリスク管理と言えるでしょう。まず、戸建て住宅の場合、水道の元栓は屋外の敷地内、地面に埋められたボックスの中に設置されているのが一般的です。道路に面した敷地の境界線付近や、駐車スペースの隅、玄関アプローチの脇などを探し、「量水器」または「水道メーター」と書かれた、鉄製あるいは青色のプラスチック製の蓋を見つけてください。この蓋を開けると、水道の使用量を計測する水道メーターがあり、そのすぐ隣(家側の配管)に、円形のハンドルや棒状のレバーが付いた元栓が設置されています。一方、マンションやアパートといった集合住宅の場合は、各戸の玄関の外、共用廊下側に設置されていることがほとんどです。最も一般的なのは、玄関ドアのすぐ横にある、鉄製の扉で覆われた「パイプスペース(PS)」または「メーターボックス」と呼ばれる区画の中です。この扉には「水道メーター」や「量水器」とシールが貼られていることが多く、扉を開けると、ガスメーターや水道管と一緒に、各戸専用の水道メーターと元栓が収められています。元栓の形状は、時計回りに回して閉めるハンドル式か、配管と直角になるように90度回して閉めるレバー式が主流です。万が一の事態に、この場所を知っているかどうかが、あなたの財産と平穏な暮らしを守るための最初の、そして最も重要な一歩となるのです。