ウォシュレットの水が止まらないという故障に見舞われた時、多くの人が直面するのが「費用をかけて修理するべきか、それともこの機会に新しいものに交換するべきか」という難しい選択です。この判断を誤ると、無駄な出費をしてしまったり、すぐにまた別の故障に悩まされたりすることになりかねません。後悔のない選択をするためには、いくつかの客観的な基準を元に、総合的に判断することが重要です。最も重要な判断基準となるのが「ウォシュレットの使用年数」です。一般的に、ウォシュレットの設計上の標準使用期間、いわゆる寿命は、7年から10年とされています。電子部品と水回り部品が同居する精密機器であり、湿度の高い過酷な環境で毎日使用されるため、他の家電製品に比べて寿命は比較的短いのです。もし、使用年数が5年未満で、メーカーの保証期間内であれば、無償または安価で修理できる可能性が高いため、迷わず修理を選択すべきです。使用年数が5年から10年の場合は、判断が最も難しい時期です。まずは専門業者に見積もりを依頼し、提示された修理費用と、新しい製品の購入・設置費用を比較検討しましょう。一つの目安として、「修理費用が、新品の購入・設置費用の半分を超える」ようであれば、交換を視野に入れるのが賢明です。そして、使用年数が10年を超えている場合は、交換を強く推奨します。たとえ今回、故障した箇所を修理したとしても、経年劣化した他の部品が、次々と連鎖的に故障する可能性が非常に高いからです。また、メーカーは製品の製造終了後、修理用部品を一定期間(通常は約7年)しか保有していません。そのため、古いモデルでは、そもそも交換部品がなく、修理自体が不可能というケースも少なくありません。さらに、修理費用だけでなく、「最新機能へのニーズ」も判断材料になります。近年のウォシュレットは、節電・節水性能が格段に向上しているほか、自動で除菌水や泡を噴射して汚れを防ぐ清潔機能、より快適な洗い心地を実現する新技術などが搭載されています。毎日の快適性や衛生面、長期的なランニングコストを考慮すれば、新しい製品への交換は、単なる故障対応以上の価値をもたらしてくれるかもしれません。使用年数、修理費用、そして機能性という三つの視点から、冷静に比較検討することが、最適な答えを導き出すための鍵となります。