専門業者に高額な料金を支払って修理を依頼する事態は、誰しも避けたいものです。トイレの排水管の詰まりは、深刻化する前であれば、家庭でできる定期的な掃除と日々の予防メンテナンスによって、その発生リスクを大幅に減らすことが可能です。プロを呼ぶ前に、まずは自分でできることから始めてみましょう。家庭でできる排水管の掃除方法として、最も手軽で一般的なのが「市販のパイ-プクリーナー」の使用です。これらの薬剤には、髪の毛や汚物を溶かす水酸化ナトリウムを主成分とする「アルカリ性」のものと、尿石の付着を溶かして予防する「酸性」のものがあります。製品の指示に従い、月に1回程度の頻度で使用することで、排水管内部に汚れが固着するのを防ぎ、詰まりの芽を摘むことができます。ただし、酸性とアルカリ性の洗剤を混ぜると有毒ガスが発生するため、絶対に同時に使用してはいけません。より環境に優しく、手軽な方法としては、「重曹とクエン酸(またはお酢)」を使った掃除も効果的です。排水口に重曹を振りかけ、その上からクエン酸やお酢を注ぐと、化学反応で二酸化炭素の泡が発生します。この発泡作用が、配管の内壁に付着した軽度なヘドロや汚れを浮かび上がらせ、剥がしやすくしてくれます。また、意外と効果的なのが「お湯を使った洗浄」です。ここで重要なのは、熱湯ではなく「45〜50度程度のぬるま湯」を使用することです。沸騰したお湯は、塩ビ製の排水管を変形させたり、便器の陶器を傷めたりする危険性があるため絶対に避けてください。バケツ一杯のぬるま湯を、少し高い位置から一気に流し込むことで、水の勢いと温度で配管内の汚物を押し流し、付着し始めたばかりの汚れを洗い流す効果が期待できます。これらの定期的な「掃除」習慣と並行して、日々の「予防」も欠かせません。一度に大量のトイレットペーパーを流さない、水に溶けにくいティッシュや掃除シートは流さない、といった基本的なルールを徹底することが、排水管の健康を保つための最も確実な方法なのです。
自分でできるトイレ排水管の掃除と詰まりの予防メンテナンス