「まさか、こんなところから!?」私が以前、お客様の洗濯機トラブルで体験した話です。お客様から「洗濯機の下から水が漏れるんです。でも、ホースは切れてないし…」というご相談を受けました。現場に到着し、洗濯機を動かしてみると、確かに床がじっとりと濡れていて、イヤな臭いがします。 まず、排水ホースの目に見える部分をチェックしましたが、ひび割れや穴は見当たりません。洗濯機本体との接続部分も、排水口への差し込みも問題なさそうでした。しかし、水漏れは確実にある。これは一体…? 次に私が確認したのは、排水ホースが床の排水口に差し込まれている「深さ」でした。お客様の洗濯機は、排水ホースが排水口の奥底まで深く差し込まれていました。一見、しっかり差し込んであるので問題ないように見えます。しかし、これが盲点だったのです。 実は、排水ホースを排水口に深く差し込みすぎると、ホースの先端が排水口の底や、排水管のカーブ部分に密着してしまい、水の通り道を塞いでしまうことがあるのです。特に、排水時に勢いよく水が流れると、ホースの先端が「吸盤」のように密着し、一時的に水の流れを完全にストップさせてしまうことがあります。すると、洗濯機内やホース内に水が逆流し、結果的に排水ホースと洗濯機の接続部分のわずかな隙間や、排水口とホースの隙間から水が溢れ出てしまう、という現象が起こるのです。 お客様のケースもまさにこれでした。ホースを少し引き上げ、排水口の底に触れない程度の深さで固定し直したところ、嘘のように水漏れはピタリと止まりました。「こんな簡単なことが原因だったなんて!」とお客様は驚かれていましたが、まさにプロの視点だからこそ気づけるトラブルの一つだったわけです。 この経験から、私はいつもお客様に「排水ホースは深く差し込みすぎないでくださいね」とアドバイスするようにしています。ホースの先端が排水口の底から数センチ浮くように設置し、かつ抜けないようにしっかりと固定することが大切です。市販の防臭キャップやアダプターを使えば、悪臭の逆流を防ぎつつ、適切な深さで固定できるのでおすすめです。 洗濯機周りの水漏れで困ったら、ホースの損傷だけでなく、その「差し込み方」にも注意を向けてみてください。意外なところに原因が隠れているかもしれませんよ。