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洗濯機の揺れの部品劣化と構造の秘密
洗濯機がガタガタと揺れる現象は、単なる設置不良や洗濯物の偏りだけでなく、内部の部品劣化が原因であることも少なくありません。洗濯機は、脱水時の高速回転という過酷な条件下で安定して動作するために、様々な振動吸収機構が組み込まれています。これらの構造の秘密と、部品劣化が揺れにどう影響するかを解説します。 洗濯機の揺れを吸収する主要な部品は、「サスペンション(吊り棒)」と「ダンパー(ショックアブソーバー)」です。縦型洗濯機の場合、洗濯槽は数本のサスペンション(吊り棒)で支えられています。これらのサスペンションが、脱水時の洗濯槽の動きを吸収し、安定を保つ役割を担っています。しかし、長年の使用によってサスペンションのバネがヘタったり、吊り棒のジョイント部分が摩耗したりすると、振動を適切に吸収できなくなり、洗濯槽が大きく揺れる原因となります。 ドラム式洗濯機の場合は、自動車のサスペンションに似た「ダンパー(ショックアブソーバー)」が内蔵されています。これは、ドラムが高速回転する際に発生する振動を熱エネルギーに変換して吸収する役割を果たします。ダンパー内部のオイルが漏れたり、シリンダー部分が摩耗したりすると、その減衰能力が低下し、ドラムの振動を吸収しきれずに洗濯機全体が激しく揺れるようになります。 また、洗濯槽を保持する「ベアリング」の劣化も揺れの原因となることがあります。ベアリングは、洗濯槽がスムーズに回転するための重要な部品ですが、水が浸入したり、長年負荷がかかったりすることで摩耗し、異音とともに揺れが発生する場合があります。この場合、ベアリング交換は専門的な作業となり、洗濯機の分解が必要になるため、プロの技術が必要となります。 これらの部品の劣化は、見た目では判断しにくいことがほとんどです。洗濯機の揺れが、洗濯物の偏りや水平設置の調整で改善しない場合、あるいは「キュルキュル」「ゴロゴロ」といった異音を伴う場合は、内部部品の劣化や故障の可能性が高いと言えます。無理に使い続けると、他の部品への負担が増加し、さらに大きな故障につながる恐れもあります。このような場合は、メーカーのカスタマーサービスや専門の修理業者に相談し、適切な診断と部品交換を依頼することが賢明な解決策です。