台所の蛇口は、一度取り付けると何年も使うものです。だからこそ、後悔しない「失敗しない選び方」を知っておくことが非常に重要です。カタログやインターネットの情報だけでは分かりにくい、プロの視点から見た失敗しないためのポイントをお伝えします。まず、最も重要な失敗ポイントは「設置タイプとサイズを間違える」ことです。台所の蛇口には大きく分けて「台付タイプ」(シンクのカウンターに直接取り付けるタイプ)と「壁付タイプ」(壁から直接蛇口が出ているタイプ)があります。さらに、台付タイプには、穴の数が1つか2つか、そして穴の間の距離(ピッチ)が決まっています。これらを確認せずに購入してしまうと、せっかく買った蛇口が取り付けられない、という最悪の事態になります。必ず、現在使っている蛇口のタイプと、もし台付タイプなら穴の数とピッチを事前に確認しましょう。次に多い失敗は「機能重視で使い勝手を考慮しない」ことです。例えば、「シャワー引き出し式は便利そう!」と飛びついたものの、シンクが小さすぎてホースの収納スペースが足りず、引き出しにくかったり、逆にシャワーの勢いが強すぎて水が跳ねてしまったりするケースがあります。また、タッチレス水栓は衛生的ですが、センサーの位置や感度が生活スタイルに合わず、かえってストレスになることもあります。ご自身の料理スタイルや、家族の身長、シンクの大きさなどを具体的にイメージし、ショールームなどで実際に触れてみるのが一番の失敗回避策です。さらに、「デザインだけで選んでしまう」のも注意が必要です。確かに、デザインはキッチンの雰囲気を大きく左右します。しかし、あまりにも奇抜なデザインや、掃除しにくい形状の蛇口を選んでしまうと、日々の手入れが大変になったり、数年後に飽きてしまったりすることがあります。長く使うものだからこそ、機能性とデザインのバランスが取れた、飽きのこないシンプルなデザインを選ぶのが賢明です。見落としがちなのが「水圧との相性」です。特に、海外製のデザイン性の高い蛇口の中には、日本の一般的な家庭の水圧には合わないものもあります。水圧が低いと、水の勢いが弱く、シャワー機能が十分に活かせないといった問題が発生します。事前にメーカーに確認するか、水圧が気になる場合は、水圧調整機能付きの蛇口を選ぶなどの対策も検討しましょう。